昨日から始まりました古銭の話、今日は「大判」についてです。
大判は安土桃山時代の天正年間(1573年~1591年)家臣へのご褒美、
朝廷、公家などへの贈答用に鋳造された特別の貨幣です。
この天正年間に豊臣秀吉が室町将軍家の彫金師(後藤家)に命じて
造らせたのが最初と言われています。
秀吉の大判は“天正大判”と言われ、表面は槌目で装飾、上下、左右
端に桐刻印が打たれ、中央に「拾両・後藤(花押)」などが墨書き
されています。裏面は中央に桐刻印、下端に花押刻印が打たれてい
ます。
※重さは、十両(44匁=165g)に定めました。
大判の評価は墨書きの状態によって決まり、造った時の墨書きがそ
のまま残っているもの「元書き」がもっとも珍重されます。次に元
墨書きが少し取れたり傷が見られるものがあり、大判座に持ち込み
手数料を支払って書き改めたものが「直し書き」、そして後藤家以
外の第三者によりなぞり書きされた「加筆」「後書き」と、順次そ
の評価は下がっていきます。
大判を年代別に表しますと、
1573~1591・・・天正菱大判、天正長大判
1573~1609・・・天正大判
1601~?・・・慶長笹書大判、慶長大判
1658~?・・・慶長大判〔明歴判〕
1695~1716・・・元禄大判
1725~1837・・・享保大判
1838~1860・・・天保大判
1860~1862・・・万延大判〔たがね打〕、万延大判〔のし目打〕112g
次回は、よく時代劇にも登場する「小判」についてです。
(※写真は世界最大の貨幣といわれる“天正長大判” 縦17.5㎝×横10㎝
重さ165gの写真です)