先週から『六古窯』の話をしておりますが、今日は「越前焼」についてです。 越前焼は、今から約850年前の平安時代末期、須恵器が焼かれる北陸最大の窯場に常滑の技術が導入され、焼き締めの陶器が作られるようになったのが基とされています。造形は、“ねじ立て”という紐状の粘土を底の縁から巻き上げるシンプルな技法です。 通常、陶器は釉薬をかけないと素地から水漏れしてしまいますが、越前の土はガラス質を多く含むため、高温で焼くことによってガラス質が溶け、粒子のすき間を埋めてくれます。堅く焼き締まって水を通さない丈夫さから、「水がめ」や「すり鉢」などが重宝され、室町時代には、北海道から島根県に至るまで船で出荷していました。 第二次大戦後、近代化が進むにつれ水がめなどの需要が無くなり、衰退していきましたが、古陶磁研究家の小山富士夫氏らの研究によって、歴史的評価がなされたことで復興を果たしました。
窯で焼く間に降り掛かって溶けた薪の灰が、緑色の自然釉となって美しく流れ、赤褐色の器肌とのコントラストによる景色が越前焼最大の魅力といえます。
【越前焼の魅力】 赤褐色の肌に流れ落ちる自然釉。六古窯の雄、古越前は素朴で無骨、北陸の風景そのものてす。
今日は、『六古窯』その3と題し、「越前焼」について書きました。
では、また。