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最初に訂正させていただきたいと思いますが、前回(第5回)以降、今回

の銀貨も表題の「古銭」という部類には属しません。「古銭」とは一般的

に江戸時代までの通貨をさしますので「近代貨幣」の方が正しいと思いま

す。

それでは本題に移ります。

1円銀貨は明治3年に貿易用に製造された貨幣です。当時、貿易の多くは

銀貨で決済されていました。そのため、金貨を本位にしながらも貿易用の

銀貨が必要でした。(※収集家の間では「円銀」の名で親しまれています)

円銀は、「箱館」「神奈川」「長崎」の3開港地だけで使用が許可され、

それ以外の場所で使用する場合、支払う側、受け取る側の同意が必要でし

た。

当時、世界的に流通していたのはメキシコドルで各国ともこのクラスの銀

貨はメキシコドルを規範としていました。

円銀の規格はアメリカドルと同じで、26.96グラム、銀品位900です。

柄については、表面が竜図、裏面は一番上に菊紋、その左右に桐紋、真中

に旭日、その左右に菊と桐を表しています。しかし、明治5年には製造が

中止され、明治7年に「新1円銀貨」として生まれ変わります。デザイン

も一新され、表面は変わらず竜図、裏面が菊紋の下に大きく「一円」と表

示されてとても分かりやすい貨幣に変わりました。

円銀が貿易用に対し、日常使用する貨幣(補助貨幣)として、50銭、20銭

10銭、5銭の銀貨を製造・発行しました。

〔補助貨幣の規格(発行初年)〕

50銭銀貨 12.5g(品位)銀800/銅200(直径)32.2㎜(初年)明治3年

20銭銀貨 5.0g(品位)銀800/銅200(直径)24.0㎜(初年)明治3年

10銭銀貨 2.5g(品位)銀800/銅200(直径)17.57㎜(初年)明治3年

5銭銀貨   1.25g(品位)銀800/銅200(直径)16.15㎜(初年)明治3年

次回のテーマは、私も大好きな「貿易銀」です。

では、また。

〔当店所有の新1円銀貨です〕